絵本「ちいさな ヒッポ」

「ちいさなヒッポ」
偕成社
マーシャ=ブラウン さく
うちだ りさこ やく

絵本『ちいさなヒッポ』の内容紹介(あらすじ) - マーシャ=ブラウン,うちだりさこ | 絵本屋ピクトブック

かばの親子の表紙を開くと、川辺の夕暮れなのか、夕焼けに染まった、とても綺麗な見返しのページが目に飛び込んできます。
赤く染まった水面から、目と鼻と耳だけ出している かば と、飛び立つ 鶴 、そして、パピルスの茂み。
この絵本は、有名な「三びきのやぎの がらがらどん」の作者 マーシャ・ブラウンによって作られた、美しい木版画の絵本です。
植物や動物、鳥や水など、アフリカの風景が美しく力強く描かれいて、どのページを切り取っても、額に入れて飾れるくらい素敵です。

お話の主人公は、まだ幼い かば の子ども「ヒッポ」。
ヒッポは、お母さんが大好き♡ 川辺のパピルスのしげみで生まれた時から、お母さんのそばを離れたことがありません。
大きくてあたたかいお母さんのそばにいれば、ヒッポはこわいものなしでした。

そんなヒッポも、少しずつ成長し、かばのことばを覚える時がきました。生きていく上で必要で大切な言葉を覚え、練習するのです。
教えてもらった言葉を使い、出会った動物や、仲間のかばに話しかけるヒッポ。小さな かば の子の好奇心旺盛な様子が伝わってきます。しまうまや水牛等、様々な動物や自然の風景がページをめくる度に登場しますが、色使いや表情など、木版画であることに驚かされると同時に、木版画でなければこの様に表現できないでしょうと、思えます。

大きなお母さんの強さと、愛情の深さ。動物の世界で生きていく厳しさ。また、生きるために小さなかばを狙うワニ。
藍色のかばと、黒でふちどられた 黄緑色のワニと、さらに口の中の赤色が効果的で、迫力があり、故に、お母さんの子どもを守ろうとする愛情が、深く伝わってきます。

読み終わり、表表紙と裏表紙を広げると、お母さんのとヒッポの大きさの違いがよくわかって、最後の最後まで楽しめます。
また、この素晴らしい木版画の絵本を製本してある紙の質感が、とても素敵です。ざらざらはしてないですが、つるつるしてなくて、厚過ぎず、薄過ぎず、良い手触りで、何よりも木版画の素晴らしさが見る人に伝わってきます。
また、水辺のかばたちや、パピルスのしげみが涼しげで、水の冷たさが心地よくなってきた季節に読んで聞かせてあげるのに、ピッタリです。

この絵本を読んだ子ども達に、広い世界に生きる様々な生き物に興味をもってほしいし、お父さんやお母さんの深い愛情は、優しさと同時に厳しさもある事を知って安心して成長していってほしいと、感じます。

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