絵本「バムとケロのさむいあさ」

「バムとケロのさむいあさ」

文渓堂
島田 ゆか

絵本『バムとケロのさむいあさ』の内容紹介(あらすじ) - 島田ゆか | 絵本屋ピクトブック

「バムとケロのにちようび」「バムとケロのそらのたび」に続く、バムケロシリーズの三作目が「バムとケロのさむいあさ」です。
しっかり者で優しくおおらかなバムと、子どもらしく毎日を全力で楽しんでいる 散らかしやのケロちゃん そんな二人の日常の一コマを描いている絵本です。

ある冬の寒い日、バムとケロは家の裏にある池が凍っているはずと、スケート遊びやつりの準備をして出かけていくと、あひるのかいちゃんが池の水と一緒に凍り付いてしまっていました。たいへんたいへんと、二人はかいちゃんを助け、家に連れて帰り、お風呂に入れて暖めてあげてから、遊んだり、一緒におやつを食べたりして過ごすのですが、テンションの上がったケロちゃんが…とまあ、大変な事になってしまいます。そして、ラストにはもっと衝撃的な事件が待ち受けています(笑)


あひるのかいちゃんが、池で凍り付いてしまうまで、何をしていたかも気になりますよね、それも表表紙と裏表紙の見返しページを見ると「あ、そうだったんだ~」と、納得。
そんな細やかな絵による表現もとっても楽しいです。



私は、バムケロシリーズの中でも、この絵本が一番印象に残っているので、1作目
を抜かしてこの絵本を取り上げてみました。
印象に残っているのは、私が保育士時代にこの絵本をとても好きだったお子さんがいて、ケロちゃんがしでかしたトイレットペーパーミイラごっこを再現して遊んだ思い出があるからです。やってみたいというその子の思いを、よく当時の園長先生も許してくれたなぁと、思います。みんなで、園の机の脚や椅子、人形など巻き巻きして遊んで楽しかったことでしょう。遊んだペーパーは使えるものは再度汚れ拭きに使い、汚れたものは紙粘土遊びをして、消費しました💦 楽しい思い出です。



幸せを感じる平和な日常を綴ったストーリーも魅力的ですが、絵本の中に丁寧に描き込まれた風景や家のインテリアや雑貨等の小物類が北欧の景色や家具のように鮮やかな色使いで印象的。一度見たら忘れられない絵だと思います。
さらに絵の隅々までよーく見ていると、小さな子たちがいて、ページをめくるたびに、この子達を探すのも楽しめます。この子達にもちゃんと名前があったような気がしますが、私は忘れてしまいました。
出てくる食べ物も、とても美味しそうで、この小さな子たちにも、小さな家具や食器でちゃんと提供されていて、探すのも楽しくなり、大人でも夢中なってしまいそうだし、他にも、表紙の絵と裏表紙にもつながりがあって、最後の最後まで楽しさが続きます。
シリーズを通して読んでいくと、さらに発見が増えていくような気がします。


細部まで丁寧に描かれた絵と、全編にあふれる優しさと思いやりに心が温まる素敵な絵本です。

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