絵本「大ピンチずかん」

大ピンチずかん」
小学館
鈴木のりたけ 作

牛乳があふれてしまった!
パックジュースのストローが中に入ってしまって取れない!
ガムを飲み込んでしまった! 等々… 大人なら誰でも一度は経験しているようなハプニングの数々が、次々に登場し、笑って楽しめる絵本「大ピンチずかん」。
お風呂に入ろうとしたら、お湯がない!なんて、最近、私もやらかしたばかりで、勇気づけられます(笑)

思い出せば、子どもの頃には様々なピンチがあり、その度にドキドキしていたものです。でも、いつの間にか年齢を重ね、ピンチも笑ってやり過ごしたり、ごまかしたりする図太さを身につけました(≧▽≦)
でも、小さな失敗も 幼い子ども達には大問題。私もこの絵本を読んでそんな子どもの頃の気持ちを、チョットだけ思い出しました。

孫娘と、この絵本を初めて一緒に読んだ時、彼女は まだ年長さんの頃で、ページをめくるたびに繰り広げられる失敗の数々にいたたまれなくなったのか、最後までたどり着かず「ばぁば、もういいや」と、絵本を閉じてしまいました。
そこから一年以上経ち、今では「これはピンチだ~」と、笑いながら見ています。
その様子を見て まだまだ幼い彼女ですが、様々な経験の中で、ピンチを乗り越えたからこそ、笑いに変えられる度量?のようなものが、備わってくるのだなぁと、感じました。
同じ本を読んでも、その時の自分自身によって、感じ方も捉え方も違う…これは成長ですよね。それは、大人になってからでも同じです。

大人の私でも、自分でも苦笑いするような過去の失敗やハプニングが この絵本にピンチとして紹介されているのを見て「あ、結構みんなも同じような失敗をやらかしてるんだ」「うんうん そうそう」と、笑ってしまったので、子ども達なら、間違いなく勇気づけられることでしょう。

2022年に出版された この絵本は、様々なピンチをレベルの大きさ等で分け、そのピンチの切り抜け方も紹介されています。
出版から2年半足らずで発行部数100万部を超えるベストセラー、大ヒット作品になり、翌年には「大ピンチずかん2」も出版されて人気です。
新聞のコラムで取り上げられていて知ったのですが、この本の編集を担当した出版社「小学館」の村松茂さんは元々、図鑑の編集をしていた方だそうで「もっと図鑑らしい構成にしてみてはどうか」と作者の鈴木さんに提案し、図鑑の作り方を取り入れたことでユニークな作品になったそうです。

鈴木さんの言葉「失敗も人生を明るくする材料の一つ。成功も失敗も大事にするくらいの方が幸せにつながると思う。いつもとは少しちがうものに興味をもって、失敗をおそれずに一歩前に進んでみてください。身近な世界がちょっと変わって見えてきます」

とても楽しい絵本の中に、作者の深い思いが溢れている傑作です。

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