絵本「くつくつあるけ」のほん

「おつきさまこんばんは」
「くつくつあるけ」
「きゅっきゅっきゅっ」
「おててがでたよ」
福音館書店
林 明子 さく

おつきさまこんばんは 福音館あかちゃんの絵本 : 林明子 | HMV&BOOKS online - 9784834006872

大好きな「林明子」さんの絵本、子ども達が小さな頃には何度も何度も読んだ絵本です。だけど、この「おつきさまこんばんは」以外の3冊の絵本が、見当たりません(´;ω;`)
どこにいっちゃったんでしょう。記憶がない…

「おつきさまこんばんは」は、満月の夜に、屋根の上で空を見上げている二匹の猫ちゃんがお月様に「こんばんは」というところから始まります。

生まれてから朝や昼の区別のなかった赤ちゃんが、歩き始め、少しずつ世界や視野が広がり、朝が来て明るくなり、夜が来ると暗くなる、そして眠る。そんな一日のルーティーンが少しずつ出来るようになってくる頃、空を見上げて、雲や雨や星や月に気付く時があるでしょう。
私も、そんな時、よくこの本を真似して「おつきさま こんばんは」って、子どもと一緒に言い合ったものです。子どもはもう それだけでとっても喜ぶのです。

月日は経って、孫が生まれてからも この本に親しみ おつきさまを見た時に「おつかま こんばんは」とたどたどしく言っていたのは、まだ記憶に新しい思い出であると共に、空を見上げておつきさまが笑っていてくれるような平和な毎日こそが宝物だと感じます。
そして、大人になっても、遠い空のお月様を見上げて「あぁ、今日はお月様がきれいだなぁ」と気付くような感受性が豊かな子に育つ気がします。

「きゅっきゅっきゅ」「くつくつあるけ」「おててがでたよ」は、いずれもご飯を食べたり、歩き始めたり、洋服を自分で着ることに興味を持ち始めた子どもに読み聞かせるには、最適な絵本です。

食後に口元をきれいにしたり、靴を身につけるのを嫌がったり、洋服が上手く着れず癇癪を起こしたりする年齢を迎えつつある子どもを前に、時々疲れてしまっていた私は、子供と一緒にこの本を手に取り、あぁそうだ、明日はこうやって遊びながら子どもと接してみようと、思った事がありました。
自分の手や足、目や鼻や口に意識がいくようになり、自分の意思で動かせる嬉しさや、思うようにならないもどかしさを全身で表現する子どもの気持ちを、この絵本と共に、受け止め笑いに変えていきたいものです。
忙しい子育ての合間の、ちょっと心に余裕のある時に、一緒に絵本を見たり、本の中にあるように、
遊びながら、生活の中の様々な事をゆったりとしてみたら、子どもはケタケタと笑いながらしてくれるかもしれませんね。

「きゅっきゅっきゅっ」と口を拭く、「ばあ~」「あれ、おててはどこかな?」と、かくれんぼしながら衣服を着る、「くつくつあるけー」と、靴と一緒にお散歩する、きっと、楽しんで出来るよね。
そんなことを、温かい絵と共に思い出させてくれる、可愛い絵本です。

 

 

 

 

童話「ちびくろサンボ」

「ちびくろサンボ」
ワイドカラー世界の名作童話 6
原作 ヘレン・バンナーマン
文  宮川やすえ
絵  小野木 学

世界名作童話全集 10 学習版 ちびくろサンボ|中古絵本の販売|えほんポケット   ワイドカラー 世界名作童話6 ちびくろサンボ カバー無し 昭和43年1月30日発行 初版 1968年 講談社 ジャックと豆の木(名作)|売買さ ...

「ちびくろサンボ」という面白いお話は、とても有名なお話です。子どもの頃、我が家にあった
「ちびくろサンボ」の絵本はワイドカラー世界の名作童話シリーズ6「ちびくろサンボ」という絵本でしたが、古すぎて、今ではもう簡単には手に入らないと思います。私はこの本が大好きでした。
私が持っているこの古い絵本も、トラが青いズボンをはいている次のページが破れて無くなってしまっているので、子ども達に読み聞かせた時には、文章を作って読んだものです。

「ちびくろサンボ」は、もう何年も前に人種差別で問題になり、長く絶版になった時期があったかと思います。私はその経緯を詳しくは知りませんが、文の中の「くろんぼ」という呼び方がいけなかったのでしょうか…再販された瑞雲舎の「ちびくろ・さんぼ」では「ちいさな くろい おとこのこ」という表現になっています。


そんなすったもんだの歴史があるお話ですが、内容はとっても面白い童話です。
お母さんとお父さんに作ってもらったり、買ってもらったりした 洋服や傘や靴を身につけて 散歩に出かけたサンボは、ジャングルで4匹のトラに出会い、身ぐるみはがされてしまいます。
可哀想なサンボが、泣きながら歩いていると、トラたちがサンボから奪ったものを身につけて、「俺がジャングルで1番のトラだー!」と喧嘩を始めます。
最後は、喧嘩をしながら 木の周りをグルグル回って前のトラにかみついて、更にグルグル回って、黄色いバターになってしまうのです。

トラがバターになってしまう、そしてその後…最後の展開が強烈に印象的なお話で、面白すぎて一度読んだら忘れられません。
そしてこの古い絵本の トラバターが、すごーく美味しそうなのです。サンボ、お母さんのマンボ、お父さんのジャンボのキャラクター達も個性豊かに描かれていて、異国を感じながらも、親しみやすく、生き生きとお話が進んでいきます。

貴重な子ども時代に、こんな風に心から楽しい、面白いと思える絵本や童話に出逢える喜びを、沢山の子ども達に味わってほしいと思います。

 この講談社の絵本、どこかで手に入るのかな、このブログを読んで興味のある方、良かったら探してみてください。この名作童話の中には、他に「ジャックとまめの木」「ガリバー旅行記」と、字だけのお話「かべぬけせんにん」が掲載されています。どのお話も、本当に魅力的な素晴らしい絵本です。ちなみに裏表紙を見ると、価格は¥360ですって!

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絵本「クリーナおばさんとカミナリおばさん」

クリーナおばさんカミナリおばさん
福音館書店
西内みなみ・さく
堀内誠一 ・え

クリーナおばさんとカミナリおばさん に対する画像結果

たくさんの電化製品にお世話になって日常生活を送っている私たち。私は、機械音痴というのもあって、自宅の電化製品事情は最先端ではありませんが、それでも朝は電気仕掛けで様々な電化製品が、起きる前から働いてくれています。朝、停電が起きたら洗濯も掃除も終わらないし、ご飯も炊けていないでしょう。ありがたいことです。



私は常々、そんな有難い電化製品達には、命あるものと思って接しています。暑い夏にブンブン働いている冷蔵庫、毎日の洗濯はもちろん、季節の変わり目には毛布などの大物もたくましく洗ってくれる10年選手の洗濯機、子ども達が学生だった頃のお弁当作りには、なくてはならなかった電子レンジ、他には、空気清浄機、ドライヤー、掃除機、テレビ…もう数え切れません。

この子達が壊れて、廃棄しなくてはならなくなった時には、「今までありがとう」という気持ちで いつも見送ってきました。電化製品だけではなく、長くお世話になった物も同じです。
そんな気持ちが芽生えたのは、もしかしたら子供の頃、この絵本を読んだからかもしれません。

お話は、掃除機のクリーナおばさんがせいそうトラックに乗せられてごみじまに運ばれていくところから始まります。トラックに乗っている捨てられた電化製品達は、口々に「まだ 働けるのに」と、文句を言いますが、ごみじまにガシャガシャと捨てられてしまいました。
周りには捨てられた電化製品達がたくさんいてみんなに「さけんでみても、むだだよ」と言われます。それでも、クリーナおばさんが「もういちど、どこかではたらいてみせる」と頑張っていたその時、ごみじまにカミナリが落ちて、カミナリおばさんがやってきます。
そして…  カミナリやまに連れていかれて…というお話。

このお話は、絵本「ぐるんぱのようちえん」と同じ、西内みなみさんと堀内誠一さんによって作られた絵本です。堀内誠一さんと言えば、前回紹介した「こすずめのぼうけん」と同じ画家の方ですが、全く絵のタッチが違います。「こすずめのぼうけん」は、写実的でやわらかいタッチですが、こちらは、直線的で、電気がビリビリしている感じが伝わる絵になっています。
その元気な絵と面白いストーリーの中で、インパクトのあるグイグイ系のカミナリおばさんが頼もしく、一気に読み終わってしまいます。


ごみじまのくらーい夜に、ババババ ビビビビ…とやってきて、「ほいよーっ」とクリーナおばさんに乗ってかみなりやまに連れていく展開が本当に爽快で、また、ごみじまのくらーい夜と、電気が流れてからの明るい画面が対照的、まるでクリーナおばさんの明るくなっていく気持ちに比例しているようです。


根底には、ごみ問題や使い捨ての時代へのメッセージなど、子ども達に何かを感じてもらいたいものもあるのかなと、大人は色々感じますが、単純に面白くて、たくさんの子ども達に届けたいと思える楽しい絵本です。ただ、もう大人になってしまった私は、人も、誰かの役に立ってこそ、必要とされてこそ、生きがいを感じるものではないかな、そんな大切なことが絵本を読んだ子ども達の心の中に灯ってくれるかな、と思いながら読み聞かせしています。

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