絵本「ものぐさトミー」

「ものぐさトミー」

岩波の子どもの本
ペーン・デュボア 文・絵
松岡享子     訳

「本のあるまいにち」子どもの成長段階に応じた推奨図書 小学生編(電子版) | 福井県ホームページ

「トミー・ナマケンボは、電気じかけのいえに住んでいます」
という始まりのこの絵本は1977年に岩波の子どもの絵本として出版されています。子どもの頃は知らなかった絵本ですが、子どもが小学生の頃に新聞で紹介されていて知ったのが始めです。
その頃やらせてもらっていた学校の読み聞かせボランティアでも読ませて頂き好評でしたが、少し絵の線が細いのと着色も柔らかく、絵本自体のサイズも小さいので、学校の読み聞かせボランティアのような機会では、両隅に座っている子まで見えるか気になりながらとなり、最適ではないかもしれません。

お話は…
トミーは電気じかけの家に住んでいて、朝ベッドから起きるのも、お風呂に入るのも、服を着るのも、食べるのも、歯を磨くのも、すべて機械にやってもらっています。
ところがある日、嵐がきて電柱が倒れ、停電になってしまったので、機械たちにすべてしてもらっていたトミーは、朝が来ても起こしてもらえず、四日四晩眠り続け、五日目の日にお腹がすいて自分で目覚めます。
それでもまだ停電中だったので、ベッドは動かず、トミーは更に二日眠り続けていた時、電柱も電線も元通りになり、ベッドやお風呂、体乾燥機や電気食事機等、止まっていた機械たちが動き始めます。
ただ、止まっていた間が一週間ほどあったことで、事件が起こり、トミーは大変なことになり…

なんだか、大人が読むと色々考えさせられますが、子ども達は素直に「いいなー」
「こんな家に住みたいなー」と言います。最後は大変なことになる
ので「やっぱ、駄目かあ~」と笑いますが、単純に、そうやって楽しめる絵本です。


昔の絵本なので、今となっては絵の感じにアナログ感もありますが、少しずつ現代では不可能な事ではなくなりつつあるという感覚も感じます。




便利になっていく世の中。もうこれ以上便利になっていかなくても良いのではないかと、私は常々思っています。これからの社会、これ以上便利になっていくことを追求するのではなく、便利なものを手放し、
時間と戦う事をやめ、この環境を守っていくことに力を注いでいけたらいいのになと、思います。

て…話がそれましたが、怠け者でものぐさなトミーのお話。こんな日を一日でいいから体験してみたくなる楽しい絵本です。

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絵本「大ピンチずかん」

大ピンチずかん」
小学館
鈴木のりたけ 作

牛乳があふれてしまった!
パックジュースのストローが中に入ってしまって取れない!
ガムを飲み込んでしまった! 等々… 大人なら誰でも一度は経験しているようなハプニングの数々が、次々に登場し、笑って楽しめる絵本「大ピンチずかん」。
お風呂に入ろうとしたら、お湯がない!なんて、最近、私もやらかしたばかりで、勇気づけられます(笑)

思い出せば、子どもの頃には様々なピンチがあり、その度にドキドキしていたものです。でも、いつの間にか年齢を重ね、ピンチも笑ってやり過ごしたり、ごまかしたりする図太さを身につけました(≧▽≦)
でも、小さな失敗も 幼い子ども達には大問題。私もこの絵本を読んでそんな子どもの頃の気持ちを、チョットだけ思い出しました。

孫娘と、この絵本を初めて一緒に読んだ時、彼女は まだ年長さんの頃で、ページをめくるたびに繰り広げられる失敗の数々にいたたまれなくなったのか、最後までたどり着かず「ばぁば、もういいや」と、絵本を閉じてしまいました。
そこから一年以上経ち、今では「これはピンチだ~」と、笑いながら見ています。
その様子を見て まだまだ幼い彼女ですが、様々な経験の中で、ピンチを乗り越えたからこそ、笑いに変えられる度量?のようなものが、備わってくるのだなぁと、感じました。
同じ本を読んでも、その時の自分自身によって、感じ方も捉え方も違う…これは成長ですよね。それは、大人になってからでも同じです。

大人の私でも、自分でも苦笑いするような過去の失敗やハプニングが この絵本にピンチとして紹介されているのを見て「あ、結構みんなも同じような失敗をやらかしてるんだ」「うんうん そうそう」と、笑ってしまったので、子ども達なら、間違いなく勇気づけられることでしょう。

2022年に出版された この絵本は、様々なピンチをレベルの大きさ等で分け、そのピンチの切り抜け方も紹介されています。
出版から2年半足らずで発行部数100万部を超えるベストセラー、大ヒット作品になり、翌年には「大ピンチずかん2」も出版されて人気です。
新聞のコラムで取り上げられていて知ったのですが、この本の編集を担当した出版社「小学館」の村松茂さんは元々、図鑑の編集をしていた方だそうで「もっと図鑑らしい構成にしてみてはどうか」と作者の鈴木さんに提案し、図鑑の作り方を取り入れたことでユニークな作品になったそうです。

鈴木さんの言葉「失敗も人生を明るくする材料の一つ。成功も失敗も大事にするくらいの方が幸せにつながると思う。いつもとは少しちがうものに興味をもって、失敗をおそれずに一歩前に進んでみてください。身近な世界がちょっと変わって見えてきます」

とても楽しい絵本の中に、作者の深い思いが溢れている傑作です。

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