絵本「かわ」

「かわ」
福音館書店
加古里子 作/絵

就学前に読むべし!かこさとしさんの川や海の絵本図鑑がおすすめの理由

「かわ」は、1962年に初版された絵本です。作者は、2018年に92歳で亡くなられた絵本作家 加古里子さんです。
この方は、色々な肩書をお持ちの方で、化学技術者でもいらっしゃいます。他にも大学の講師をされていたり、児童文化の研究をされていたりと、その豊かな知識は、たくさんの作品に生かされているように思います。

「たかい やまに つもった ゆきがとけて ながれます。やまにふった あめも ながれます。みんな あつまってきて、ちいさいながれを つくります。」
お話のはじまりです。
小さな流れは、山の湧水等と一緒になり、岩にぶつかり、滝になって落ち、谷川となって山を下ります。
ダムにせき止められたり、木々を運んだりして、少しづつ人間の暮らしに関わりながら険しいがけの間をしぶきをあげながら流れ出ていき、その間に大きな岩も、激しい水の勢いで削られ、だんだん丸くなり、押し流されてぶつかり合って、小さな石ころになっていきます。
その様子は細かく絵本の隅々まで描かれいて、次のページにずっと繋がっていきます。
例えば、山で切り出された木々が川で運ばれ、森林起動で更に運ばれてどうなっていくのかを、ページをこえて描かれています。

ページをめくる度に かわ は大きく広くなっていきますが、ずっとつながっていて、様々な仕事や生活等に かわ が深く関わっている暮らしが細部まで、丁寧に描かれています。

もう 60年以上も前に作られた絵本なので、人々の生活の様子は現代とは違っていますが、少し前の時代まで、この様な生活もあったのだなぁと、面白く、見入ってしまいます。
本当に細かくて「せんたくしてる」「あ、竹馬乗ってるひとがいる」「釣りをしてるね」「これは、何してるの?」等々…見ていると、とても面白いんです。
また、かわ を利用しての仕事も様々描かれていて、その仕事の内容や、使われている機械や建物、場所の名前なども、小さな文字で書かれていて「へ~」ってちょっとお勉強になったりします。

かわ はそこから先もどんどん流れ、街へ流れ出ていき、そこでは、直接川の水を使って、生活したり、遊んだりする事はなくなっていきますが、浄水場に取り込まれ、ここできれいにされて、私たちのところまで運ばれてきたり、山奥の発電所から高圧線で送られてきた電気が変電所につながり、ここから私たちの家や、工場などに運ばれてくることも、ちゃんと描かれています。

いつも当たり前のように、水道からでてくる水、スイッチを入れるとパッと明るく照らしてくれる電気等は、流れている かわ の恵みである事、
私たちの生活は、自然と無関係ではなく、むしろ自然がおろそかにされたら、成り立っていけない事、そんな当たり前のことを思い出させてくれます。

川は、山奥で滝となって下って来た時とは様変わりしてゆったりと流れ、海へとつながります。
 最後の真っ青な海の絵と、「うみを こえて いこう。ひろいせかいへ」
という言葉は、この広くて深く大きな自然を尊く思う作者の気持ちと、子ども達に、広い うみ のように大きな希望をもって成長し、飛び立っていってほしいという願いが込められているように感じます。 

最後に…この絵本を紹介するにあたり、初版の情報等を調べていたら、
「こどものとも」創刊60周年を記念して ロングセラーである「かわ」を絵巻じたてにして出版されていることを知りました。
折りたたまれたページをひろげると約7メートル、源流から海までの川の旅が一望できるみたいです。私も是非、見てみたいと思いました。

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絵本「まめうしのあついなつ」

めうしのあついなつ」

PHP研究所
あきやま ただし 作・絵

まめうしのあついなつ | あきやま ただし | 絵本ナビ:レビュー・通販

今年も毎日暑い日が続いています。私が子どもだった昭和40年代と比べると、平均気温も2~3度
高くなっているでしょうか…いや もっとかな…
ここ数年の夏の暑さは、健康を害する程で、子どもにも気を使いますね。
でも、虫捕りや水遊び、プール、泥んこ遊び等、夏ならではの遊びを楽しんでほしいものです。

今回 取り上げた「まめうしのあついなつ」という絵本は、私の大大大大好きな「まめうしくん」シリーズの絵本で、まめうしくらいの小さな こうし のまめうしが繰り広げる 楽しい日常と、小さな事件を描いています。
四季を感じられるお話が数々、出版されていますが、これは、夏のお話。 
カブトムシ みたいな ぶた の 「かぶたむし」と、
クワガタムシ みたいな うし の「くわがたうし」
困っている虫や友達を助けながら、二人で思いきり楽しんで過ごす暑い夏の一日が描かれています。

入道雲がもくもくしている夏の暑い日にお散歩してる、まめうしくんは、もう暑くて暑くてパタッと倒れてしまいます。そこへ、かぶたむしが現れ、まめうしくんに水を ばっしゃーん! とかけてくれて、まめうしくんは元気になり、がぜん、助けてくれた かぶたむし に興味を持ちます。
その後も、かぶたむし なるヒーローは、困っている あり や、いもむし や、小さな可愛いお友達の ありすちゃんたちを助けていくのですが、その途中、一人ではなかなか上手くいかない時に、
もう一人のヒーロー、くわがたうし が参上します。

二人で困っている友達を助ける途中、危ない目にも合いながら、協力したり知恵を出し合ったりしながら解決していく様子が、あきやまただしさんの絵も相まって、「プッ」と笑えるシーンばかりですが、ヒーローになりきって真剣に目の前の出来事に向き合い、思いっきり夏の暑い一日を楽しんで過ごし、夕方、お母さんの元に帰ると、すぐに「ぐ~ぐ~ す~す~」眠り、次の日の朝、また、昨日の続きをして遊ぼうとする二人を見ていると「子どもってこうじゃなくっちゃ」って思います。

何とも言えない面白い まめうしくん の世界。いつも、クスッと笑える中に、ちょっとじ~んとしたり、様々な愛情を感じたりして、いい気持ちにしてくれる絵本です。

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