絵本「おべんとうバス」

「おべんとうバス」

ひさかたチャイルド
真珠 まりこ 作・絵

おべんとうバス | 真珠 まりこ,真珠 まりこ | 絵本ナビ:レビュー・通販

2006年に発行された 比較的新しいこの絵本には、保育士時代 本当に本当にお世話になりました。といっても、若い頃ではなく もう後半戦ですけど💦

まだ誰も乗っていない真っ赤なかわいい バス。
「バスにのってくださーい」 そして、次々にお名前が呼ばれます。  呼ばれるのは、お弁当のおかずでおなじみの ハンバーグやエビフライ、たまごやき達 (≧▽≦) 
緑のお野菜や、デザートの果物もみんな一緒にバスに乗り込んで さあ、出発です!

原色で描かれた鮮やかなキャラクター達が、本当に可愛らしく、また、リズミカルに繰り返される会話の文面が、小さな子ども達にピッタリです。
「ハンバーグさーん」
「はーい」
という声に合わせて、小さなおててを上げてくれる 微笑ましい光景が浮かびます。

保育士小道具の一つとして、ペープサートというものがあるのですが、私はこの絵本を題材にペープサートを作り、親子遠足のバスの中などで、毎年見せていました。
絵も色合いも作りやすい題材なもので、大いにお世話になったものです。
コロナ渦以降、遠足や園外保育など、下火になり、子ども達も戸外でお弁当を食べたり、バスに乗って、お友達と出かける事も少なくなり、少し残念な気もしますね。

「おべんとうバス」は、歌も作られていて、お話を歌にして読んでいくこともできます。とっても楽しい歌なので、YouTubeなどで検索してみると、また更に楽しむことができそうです。

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絵本「いつでも 会える」

「いつでも 会える」

学研研究社

菊田 まりこ

いつでも会える 絵本 に対する画像結果

 



可愛くて無邪気な小さな白い犬 シロ。
シロは、みきちゃんが大好き。大好きなみきちゃんといつも一緒。
ごはんも散歩も…
ずっと一緒にいられると思っていたのに、ある日 みきちゃんがいなくなってしまった。
シロは、大好きなみきちゃんがいなくなってしまった悲しみに押しつぶされそうになる毎日の中で、懸命にその悲しみを乗り越えようとします。そして……

 

 

 

 

この絵本を書店で見つけた時、私は自身の実母を、重い病で亡くしたばかりでした。大切な人を亡くすと、どんなに会いたくても、会えない、呼んでもらえない、触れたくても温かさを感じることはできなくなります。
そして、自分が寂しさや悲しさを感じると同時に、亡くなった人の心に思いを馳せるのです。
どんなに生きたかったか、一緒にいたかったか、色んな事をしたかったか、それが叶わず逝ってしまったことに、胸がつぶれそうに痛むのです。

シロも 「シロって、よんで。あたまを なでて」と、心で叫び、悲しみます。
みきちゃんだって、もっともっと生きていたかった。もっともっと遊びたかった。もっともっと…
その悲しみが癒えるのは、やはり、時間しかないのでしょう。

 

 

 

悲しみにくれる時間の中で、同じ悲しみを抱く家族や周りを取り巻く人たちと過ごし、話し、聞いてもらいながら、亡くなった方を偲ぶ中で、少しずつ胸の痛みを流せるようになると、シロのように「とおくて、ちかいところに いたんだね」という思いを、時々はもてるようになるのかもしれません。


母が亡くなった頃に、三人の子どもの母親だった私は、この絵本を読み、母を思いました。私にも、こんな気持ちになれる日がくるのだろうかと…
母が亡くなっても、当たり前ですけど、残された者の日々は続いていきました。どんなに悲しくても、お腹もすくし、やらなきゃいけないこともたくさんありました。それでも ぶれずに、日常生活を続けていく事ができたのは、母が私を愛情いっぱいに育ててくれたからだと思うことができるようになり、シロのように、目をつむると、母を微笑んで思い出せる日も多くなってきたのです。
そう、母は遠くてちかいところに、いつもいてくれたのです。

 

 

短いお話のシンプルな文体の中に、悲しさ、優しさ、思いやり 等 様々な思い を感じさせてくれる一冊だなぁと、開くと いつもちょっとウルッとします。

 

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絵本「ちいさいおうち」

「ちいさいおうち」

岩波の子どもの絵本

バージニア・リー・バートン 文・絵
石井桃子          訳

 

ちいさいおうち | 絵本寄付書店 ekBooks

 

「むかしむかし、いなかのしずかなところに ちいさいおうちがありました。」というはじまりのこの絵本は、アメリカ合衆国の代表的な絵本作家 バージニア・リー・バートンの名作絵本で、日本語翻訳は、石井桃子さん、1954年に岩波の子どもの絵本として発行されています。

きれいな水色の表紙に、シンメトリーに描かれた「ちいさいおうち」と、周りを取り巻くひなぎくの花が描かれていて、印象的です。明るいきれいな色彩で描かれた物語の始めは四季折々の植物や生き物たちや自然の恵みと共に生きている ちいさいおうちの人々の姿が描かれています。

太陽や月、星、周りの自然をながめ、春、夏、秋、冬 それぞれの季節と共に、生活する家族をじっと見つめながら ちいさいおうちは幸せを感じていました。
朝には、お日さまがのぼり、ゆうがたにはしずむ。よるになると、ちいさいおうちは お月さまをながめ、三日月から満月になるのを楽しみます。星もながめます。
そして、時々、ずっと向こうの 遠いところの まち を見て思うのです。「まちって、どんなところだろう。まちに すんだら、どんなきもちがするものだろう」と。

絵本の中では、太陽が昇り日が沈むことで一日を、月の満ち欠けで一か月を、四季の移り変わりで一年が過ぎていくのが表現されています。
四季の景色とちいさいおうちは右ページに描かれ、小鳥やひなぎくの花、落ち葉や雪の結晶等が、左ページに描かれ、美しくのどかな風景が広がっていますが、物語の進行と共に失われていきます。
ちいさなおうちの住んでいる場所は、開発が進み、かつて ちいさいおうちが遠くの灯りを見て「まちって、どんなところだろう…」と、つぶやいていた 町 になっていってしまうのです。
環境が変わっていき、ちいさいおうちは、忙しく動く町をあまり好きになれないまま、何年も何年も過ぎていき、ちいさいおうちはみすぼらしくなってしまいますが、丈夫に建てられていたので、骨組みはしっかりとしていました。
そして、丈夫に建てられ、また、どんなにお金を出しても、誰も買うことはできなかった このちいさいおうちは、都会の中で
どうなっていくのでしょう?

このお話は、1942年に描かれ、アメリカの児童図書館協会が、アメリカ合衆国で、前年に出版された最も優れた子ども向け絵本に毎年授与しているコールデコット賞を受賞しています。(情報はWikipediaより)
制作背景には作者自身の生活や経験も加味されているそうで、ちいさいおうち が  ずっとそこにいる間に、周りの景色が変わっていく様子や、住む人がいなくなり、時の流れと共にだんだんみすぼらしくなっていき、悲しそうな佇まいになっていく様が、細かく丁寧な描写で描かれています。
この絵本を読んだ子ども達が、長い時の流れを感じ、進化していく暮らしや変化していく日常を感じ、その中で何が変わらずに残っているのかに気づき、自身の価値観をうっすらと芽生えさせるきっかけにもなり得る一冊です。

過ぎ去った過去は歴史となり、良いことも悪いことも、今の自分を支えてくれるものになります。この物語も、進化していく文明が悪いものといった考え方ではなく、その中にいて自分が居心地が良いか悪いか…そして、過去の自分のいた場所を懐かしく思う気持ちも大切なものになっていくように思います。
小さな子どもが この絵本を読んでそんなことを考えるわけもないと思いますが、時の流れを大きなものとして漠然と感じ、何かを心の中に残してくれるのではないでしょうか。

このブログを書くにあたり、この絵本について調べていたら2019年11月に、バートン生誕110年を記念して、より原作に近い色彩で美しく生まれ変わった改版が発売されたそうです。
表紙の〝HER-STORY″の文字や献辞の〝To Dorgie″の文字がよみがえり、巻末にはバートンの息子さんによるあとがきが収録され、より深くこの作品を味わうことができるようになったようです。

時の流れとともに変わっていく おうち と、風景を詩情豊かな美しい文章と、絵  で描いた名作絵本です。

 

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絵本「だいふくもち」

「だいふくもち」

福音館書店
田島征三 作

だいふくもち|福音館書店

何歳の頃のことか、記憶が曖昧ですが「こどものとも」の月間絵本で出会い、面白くて何回も何回も読んだ絵本です。
絵本作家 田島征三さんによって作られた1977年の作品で、大胆な筆のタッチと泥臭い感じの絵の具?の色と、「ごろはちだいみょうじん」と同様に方言(こちらは土佐弁)で綴られるお話が独特で、印象的です。

お話は…
怠け者のごさくが、いつものようにゴロゴロしていると、ある晩「ごさく」と、自分を呼ぶ声が聞こえてきます。どこから聞こえてくるのかと探してみると、なんと、床下に300年も住み着いているというだいふくもちを見つけました。
そのひしゃげた だいふくもちが、300年も何も食べてないから、小豆を食わせろと うるさいので、隣の家から小豆を1升もらってきて ひしゃげた だいふくもちの上にのせてやると、だいふくもちは、むっくりもっくりとうまそうに小豆を食べて、やがて「ぽこん」と小さなだいふくもちを産んだのです。
産まれた だいふくもちがあんまり美味しそうなので、ごさくが食べてみると、これがとても美味しい! 怠け者のごさくでしたが、これは売れると、小さなお店を出します。
餅は美味しくて評判になり、売れに売れ、ごさくは大金持ちになっていきます。ところがある日、ごさくが欲張って山盛りの小豆を無理やりに食べさせた為に…  というお話。

最後は ちょっと怖いのですが、また、読みたくなるのは、やはり、ひしゃげた だいふくもちが小豆を食べて、こんまいだいふくもちを産むシーンを見たくなるからではないでしょうか。
私がそう思うから、読んだ人はみんなそうではないかなぁと、思ってしまうのですが、本当に美味しそう。なんとも絵の力がすごくて、美味しそうで、読むとお餅が食べたくなります。

このお話は民話ではなく、作者のオリジナルだと記憶していますが、日本の昔話や民話、更には外国の童話等は、怖いものが多いですよね。教訓めいていたり、悪い人のいなくなり方も ちょっと残酷だったりします。
それでも、子ども達は昔話が大好きです。
紙芝居でも、昔話となると、のめりこんで、集中して聞いてくれるのです。
このお話の ごさくにしても、あんまり欲をかくと痛い目にあいますよという教訓のようなものを後に残してお話は終わります。
でも、そんなラストだからこそ、心に残ると共に、子ども達の 賢くなりたい、大きくなりたい、強くなりたい、正しい人になりたいという気持ちを搔き立て、夢中になって聞いてくれるのかなと、感じます。

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絵本「ごろはちだいみょうじん」

「ごろはちだいみょうじん」
福音館書店
中川正文 さく
梶山敏夫 え

ごろはちだいみょうじん こどものとも絵本 : 中川正文 | HMV&BOOKS online - 9784834002034

「べんてはんの もりの ごろはちは、えらいてんごしいの たぬきやった。」
ということばで始まる この絵本は1969年に福音館書店から発行されている 古い絵本です。
この温かみのある方言の言い回しと、絵の感じが面白いというか印象的で、大好きな絵本でした。
調べてみたら、この方言は、作者が生まれ育った、奈良県は大和地方の方言だそうで、その言葉で語られる心にしみる物語。

作者の中川正文さんは、京都女子大学教授、日本児童文学学会会長等を歴任され、自動文学の向上に尽力した方のようです。
絵本もたくさん作られていますが、私が知っているのは「ごろはちだいみょうじん」の他に「きつねのおはなはん」「ねずみのおいしゃさま」「いちにちにへんとおるバス」があります。どれも、温かいストーリーが魅力の素敵な絵本です。

絵を描かれた梶山敏夫さんは、様々な絵本で印象的な絵を描いておられる絵本作家ですが、画家としても抽象画、木版画、陶作品、ガラス絵など、様々な分野で才能を発揮されていた方だそうです。
あまり直線がなく、ゆらゆらとした太い線と細い線の筆のような質感の輪郭で、動物や植物、建物や人間が描かれている特徴のある絵のタッチでが温かみがあり、私はよく昔話や民話の物語で、この方の絵に親しんできました。
私の知っている作品では「ごろはちだいみょうじん」の他に「さんまいのおふだ」「島ひきおに」「おんちょろちょろ」等、たくさんあります。

お話は…
べんてはんの森のごろはちは、たいそういたずら者で、人をだましたり、ごちそうを盗んだりしていましたが、ごちそうを盗んでも、後で山の木の実を返しておくような几帳面なタヌキでした。
ある時、村はずれで鉄道を敷く工事が始まりました。やがて工事が終わり、初めて汽車が音を立ててやってくるのを見た村人たちは、煙をはいて近づいて来る、へんてこりんな、かぶとむしのおばけみたいなものを、汽車だとは思わず、
「ひょっとしたら、こら ごろはちにだまされとるのとちがうやろか」と、ごろはちが化けたものだと勘違いし、笑いながら、線路に飛び出してしまいます。
それを見たごろはちは、「てんごと ちがう。わるさしとるのやない。あれは ほんものやがな」と、汽車の前に立ちはだかり…。

なんとも悲しい結末ですが、そこは、悲しい中にもユーモアを交えたラストになっていて、心が温まる終わり方となっています。
方言というのは、不思議ですね。子どもの頃 私は何度か読んでいて、意味が解らないから面白くないと思ったことは 一度もありません。
何度か読むうちに、リズムのようになって、体にスッと入り、心地良く物語を楽しめるものになっていきます。
「ごろはちだいみょうじん」も、方言の温かみを感じながら、ユーモアの中にある人情や情け深さ、思いやりなどに感じ入る 味わい深い名作絵本です。

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絵本「バムとケロのさむいあさ」

「バムとケロのさむいあさ」

文渓堂
島田 ゆか

絵本『バムとケロのさむいあさ』の内容紹介(あらすじ) - 島田ゆか | 絵本屋ピクトブック

「バムとケロのにちようび」「バムとケロのそらのたび」に続く、バムケロシリーズの三作目が「バムとケロのさむいあさ」です。
しっかり者で優しくおおらかなバムと、子どもらしく毎日を全力で楽しんでいる 散らかしやのケロちゃん そんな二人の日常の一コマを描いている絵本です。

ある冬の寒い日、バムとケロは家の裏にある池が凍っているはずと、スケート遊びやつりの準備をして出かけていくと、あひるのかいちゃんが池の水と一緒に凍り付いてしまっていました。たいへんたいへんと、二人はかいちゃんを助け、家に連れて帰り、お風呂に入れて暖めてあげてから、遊んだり、一緒におやつを食べたりして過ごすのですが、テンションの上がったケロちゃんが…とまあ、大変な事になってしまいます。そして、ラストにはもっと衝撃的な事件が待ち受けています(笑)


あひるのかいちゃんが、池で凍り付いてしまうまで、何をしていたかも気になりますよね、それも表表紙と裏表紙の見返しページを見ると「あ、そうだったんだ~」と、納得。
そんな細やかな絵による表現もとっても楽しいです。



私は、バムケロシリーズの中でも、この絵本が一番印象に残っているので、1作目
を抜かしてこの絵本を取り上げてみました。
印象に残っているのは、私が保育士時代にこの絵本をとても好きだったお子さんがいて、ケロちゃんがしでかしたトイレットペーパーミイラごっこを再現して遊んだ思い出があるからです。やってみたいというその子の思いを、よく当時の園長先生も許してくれたなぁと、思います。みんなで、園の机の脚や椅子、人形など巻き巻きして遊んで楽しかったことでしょう。遊んだペーパーは使えるものは再度汚れ拭きに使い、汚れたものは紙粘土遊びをして、消費しました💦 楽しい思い出です。



幸せを感じる平和な日常を綴ったストーリーも魅力的ですが、絵本の中に丁寧に描き込まれた風景や家のインテリアや雑貨等の小物類が北欧の景色や家具のように鮮やかな色使いで印象的。一度見たら忘れられない絵だと思います。
さらに絵の隅々までよーく見ていると、小さな子たちがいて、ページをめくるたびに、この子達を探すのも楽しめます。この子達にもちゃんと名前があったような気がしますが、私は忘れてしまいました。
出てくる食べ物も、とても美味しそうで、この小さな子たちにも、小さな家具や食器でちゃんと提供されていて、探すのも楽しくなり、大人でも夢中なってしまいそうだし、他にも、表紙の絵と裏表紙にもつながりがあって、最後の最後まで楽しさが続きます。
シリーズを通して読んでいくと、さらに発見が増えていくような気がします。


細部まで丁寧に描かれた絵と、全編にあふれる優しさと思いやりに心が温まる素敵な絵本です。

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絵本「ものぐさトミー」

「ものぐさトミー」

岩波の子どもの本
ペーン・デュボア 文・絵
松岡享子     訳

「本のあるまいにち」子どもの成長段階に応じた推奨図書 小学生編(電子版) | 福井県ホームページ

「トミー・ナマケンボは、電気じかけのいえに住んでいます」
という始まりのこの絵本は1977年に岩波の子どもの絵本として出版されています。子どもの頃は知らなかった絵本ですが、子どもが小学生の頃に新聞で紹介されていて知ったのが始めです。
その頃やらせてもらっていた学校の読み聞かせボランティアでも読ませて頂き好評でしたが、少し絵の線が細いのと着色も柔らかく、絵本自体のサイズも小さいので、学校の読み聞かせボランティアのような機会では、両隅に座っている子まで見えるか気になりながらとなり、最適ではないかもしれません。

お話は…
トミーは電気じかけの家に住んでいて、朝ベッドから起きるのも、お風呂に入るのも、服を着るのも、食べるのも、歯を磨くのも、すべて機械にやってもらっています。
ところがある日、嵐がきて電柱が倒れ、停電になってしまったので、機械たちにすべてしてもらっていたトミーは、朝が来ても起こしてもらえず、四日四晩眠り続け、五日目の日にお腹がすいて自分で目覚めます。
それでもまだ停電中だったので、ベッドは動かず、トミーは更に二日眠り続けていた時、電柱も電線も元通りになり、ベッドやお風呂、体乾燥機や電気食事機等、止まっていた機械たちが動き始めます。
ただ、止まっていた間が一週間ほどあったことで、事件が起こり、トミーは大変なことになり…

なんだか、大人が読むと色々考えさせられますが、子ども達は素直に「いいなー」
「こんな家に住みたいなー」と言います。最後は大変なことになる
ので「やっぱ、駄目かあ~」と笑いますが、単純に、そうやって楽しめる絵本です。


昔の絵本なので、今となっては絵の感じにアナログ感もありますが、少しずつ現代では不可能な事ではなくなりつつあるという感覚も感じます。




便利になっていく世の中。もうこれ以上便利になっていかなくても良いのではないかと、私は常々思っています。これからの社会、これ以上便利になっていくことを追求するのではなく、便利なものを手放し、
時間と戦う事をやめ、この環境を守っていくことに力を注いでいけたらいいのになと、思います。

て…話がそれましたが、怠け者でものぐさなトミーのお話。こんな日を一日でいいから体験してみたくなる楽しい絵本です。

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絵本「大ピンチずかん」

大ピンチずかん」
小学館
鈴木のりたけ 作

牛乳があふれてしまった!
パックジュースのストローが中に入ってしまって取れない!
ガムを飲み込んでしまった! 等々… 大人なら誰でも一度は経験しているようなハプニングの数々が、次々に登場し、笑って楽しめる絵本「大ピンチずかん」。
お風呂に入ろうとしたら、お湯がない!なんて、最近、私もやらかしたばかりで、勇気づけられます(笑)

思い出せば、子どもの頃には様々なピンチがあり、その度にドキドキしていたものです。でも、いつの間にか年齢を重ね、ピンチも笑ってやり過ごしたり、ごまかしたりする図太さを身につけました(≧▽≦)
でも、小さな失敗も 幼い子ども達には大問題。私もこの絵本を読んでそんな子どもの頃の気持ちを、チョットだけ思い出しました。

孫娘と、この絵本を初めて一緒に読んだ時、彼女は まだ年長さんの頃で、ページをめくるたびに繰り広げられる失敗の数々にいたたまれなくなったのか、最後までたどり着かず「ばぁば、もういいや」と、絵本を閉じてしまいました。
そこから一年以上経ち、今では「これはピンチだ~」と、笑いながら見ています。
その様子を見て まだまだ幼い彼女ですが、様々な経験の中で、ピンチを乗り越えたからこそ、笑いに変えられる度量?のようなものが、備わってくるのだなぁと、感じました。
同じ本を読んでも、その時の自分自身によって、感じ方も捉え方も違う…これは成長ですよね。それは、大人になってからでも同じです。

大人の私でも、自分でも苦笑いするような過去の失敗やハプニングが この絵本にピンチとして紹介されているのを見て「あ、結構みんなも同じような失敗をやらかしてるんだ」「うんうん そうそう」と、笑ってしまったので、子ども達なら、間違いなく勇気づけられることでしょう。

2022年に出版された この絵本は、様々なピンチをレベルの大きさ等で分け、そのピンチの切り抜け方も紹介されています。
出版から2年半足らずで発行部数100万部を超えるベストセラー、大ヒット作品になり、翌年には「大ピンチずかん2」も出版されて人気です。
新聞のコラムで取り上げられていて知ったのですが、この本の編集を担当した出版社「小学館」の村松茂さんは元々、図鑑の編集をしていた方だそうで「もっと図鑑らしい構成にしてみてはどうか」と作者の鈴木さんに提案し、図鑑の作り方を取り入れたことでユニークな作品になったそうです。

鈴木さんの言葉「失敗も人生を明るくする材料の一つ。成功も失敗も大事にするくらいの方が幸せにつながると思う。いつもとは少しちがうものに興味をもって、失敗をおそれずに一歩前に進んでみてください。身近な世界がちょっと変わって見えてきます」

とても楽しい絵本の中に、作者の深い思いが溢れている傑作です。

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ひろすけ童話「むく鳥のゆめ」

ひろすけ童話「むく鳥のゆめ」

集英社版
浜田廣介 作
深沢邦朗 画

s 昭和書籍 初版 ひろすけ童話 むく鳥のゆめ 浜田廣介 画 深沢邦朗 オールカラー 集英社 昭和42年 昭和レトロ /F45(絵本一般 ...

昔、夜眠る前に母によく読んでもらった絵本。とても古い絵本ですが、大切にしています。
浜田廣介という、とても有名な童話作家の作品なので、何作か同じお話の絵本が出版されていますが、実家にあったのはこの絵本でした。
以前にブログに記した「ないた あかおに」もこの方の作品です。

お話は…
広い野原の真ん中に立つ古いくりの木。その木のほらの中に、むく鳥の子どもと、とうさん鳥が住んでいました。
秋になり、すすきの ほ が白くなると、とうさん鳥は、その ほ をくわえて 
すのなかに持ってきて温まり、やがて寒い冬を迎えても、そのすすきのほ のおかげで困らずに暮らせていました。

寒く天気の悪い日が続いたある日、むく鳥の子はふと、母さん鳥に気がつきます。遠いところへ出かけたと思っていたけれど、なかなか帰ってこないのを気にして、とうさん鳥に尋ねます。
とうさん鳥は、かあさん鳥がもう この世にいないとは言えず、
「いまごろは、うみの上をとんでいるの。」
「もう、いまごろは、やまをこえたの。」
と、聞くむく鳥の子に、「ああ、そうだよ。」と、答えるだけでした。
なかなか帰ってこないかあさん鳥が恋しいむく鳥の子は、木に残った たった一枚の葉っぱが、かさこそ、かさこそ…というだけでも「おかあさんかな」と、思ってしまっていました。
でも、寒くなり、風が今にも茶色くなった枯れ葉をもぎ取ってしまいそうです。
それを見た むく鳥の子は…

とても寂しく、切ないお話。でも私は、このお話を母親に何度か読んでほしいといったのでしょう、読んでもらった事をよく覚えています。
子どもにとってお母さんという存在が、どれほど大切なものか、どれほど恋しいものかが、切々と伝わってくるこの絵本を、読んでもらった声や腕枕してもらったぬくもりを思い出すのです。
前回、ブログに記した「ねないこだれだ」と同様に、むく鳥の子がお母さんを恋しがり、葉っぱのゆれる音にお母さんを感じて眠る姿に、心がきゅっとなったり、そばにいるお母さんを感じて安心したり という相反する感情が、子どもの感受性を豊かに成長させてくれるのかな、だから、印象的で、よく覚えているのかなと、思いました。

またこの絵本は、深沢邦朗という童画家が描いておられる 挿絵もとても素晴らしく、秋から冬に移り行く季節や、雪がしんしんと降ってくる様子、木の色やすすきの穂のあたたかそうな風合い、色合いの少ない季節に反してきれいな羽のむく鳥の子の姿など、印象的な素晴らしい挿絵です。

寒くなって来たこの季節に、読んであげたい名作童話です。

 

絵本「クリスマスの三つのおくりもの」

「クリスマスの三つのおくりもの」
福音館書店

林明子 さく

クリスマスの三つのおくりもの :HON0007:木のおもちゃ ウッドワーロック - 通販 - Yahoo!ショッピング

かすみちゃん、もっくん、れいちゃんの3きょうだいに訪れた、クリスマスの不思議な出来事を描いたお話が3冊セットで、箱に入っている可愛い絵本。
手のひらサイズの小さな絵本は、持っているだけで嬉しくなるような素敵な箱に入っています。
作者は、以前にも「はじめてのおつかい」や「おふろだいすき」で紹介させて頂いた、私も大好きな絵本作家 林明子 さんです。

お話は…
まず「ふたつのいちご🍓」
 クリスマスにおかあさんがケーキを作ったのですが、いちごが三つしかのっていません。おかあさんは、もうどのお店にもいちごが売っていなかったけど、子どもたち3人分はあるからいいでしょう、と伝えます。
でも、きっと、お父さんとお母さんもいちごを食べたいと思っているでしょと、かすみちゃんは、いちごを探しに出かけます。少し前の季節にいちごがなってたとこを思い出し、張り切ってそこへ行ってみるのです。
でも、そこには枯れたはっぱがあるだけでした。あきらめきれないかすみちゃんは
森の方へ足を延ばしあちこち探していると、うさぎの子どもを見かけます。
そして…というお話。

思いやりと優しさがいっぱい詰まったストーリーがクリスマスにピッタリです。
1ページ目を開くと、題字の下にもう少し暖かな季節にかすみちゃんがいちごに手を添えている絵が載っています。あ、かすみちゃんが探しに行った いちごは、このいちごだったんだね、前に見かけたいちごの様子が描かれているところも、描写が丁寧で楽しめます。

2冊目は「サンタクロースとれいちゃん」
 ベッドでサンタクロース🎅をまっていた れいちゃんは、なかなかやってこないサンタクロースにしびれをきらして、起き上がり、サンタクロースを探しに行きます。どんどん歩いて森の入口まで行くと、なんと向こうの方からサンタさんが歩いてくるではありませんか。
れいちゃんはプレゼントの事を聞きたくて「サンタさん サンタさん」と、話しかけますが、急いでいるサンタさんはれいちゃんに気がついてくれません。おまけに、袋に穴が開いていて、プレゼントがポロポロ落としてしまっています。
さあ、どうなっちゃうのかな…
世界中の子ども達が会いたいと願っているサンタクロース。そんなサンタクロースに出逢えた、小さな女の子の心温まるストーリーです。

そして3冊目は「ズボンのクリスマス」
きょうだいで唯一の男の子、もっくんのお話です。
絵本を開けると、サンタさんから赤い消防自動車をもらい、喜んでいるもっくんの様子からお話が始まります。

この車も「サンタクロースとれいちゃん」のお話で、ちゃんともっくんの靴下に入ってて、お話のつながりを感じることができます。
大喜びのもっくんはこの赤い車に夢中で、もうすぐ家族で出かけるというのに、ちっともズボンをはきません。
今日はクリスマスで、今から家族でおじいちゃんとおばあちゃんの家にパーティーに出かける予定があり、みんな支度をしているので、なかなかはいてくれないもっくんにズボンもやきもきして、もっくんの背中をつつきますが、知らん顔をされたので、待ちきれなくなって外へ飛び出していきます。
びっくりしたもっくんは、慌ててズボンを追いかけて…というお話。

最後に到着したおじいちゃんとおばあちゃんの家で無条件に褒められ、嬉しそうに笑うもっくんの表情に幸せを感じるラストです。

子ども達と何度も読んだクリスマスの素敵な絵本。最後の最後のページには「クリスマスのおおさわぎ」という面白い歌も載っています。
登場する子ども達の愛らしさと優しさに心が温まるこの絵本を、読んで楽しんでいただきたいなと思います。
また、クリスマスも近くなってきたこの時期に、世界中の子ども達の幸せを、もう一度神様に祈りたいと思います。
戦争や紛争、また、災害などで命を落とした方々に、どうか安らかにと、また、来年こそは、平和な世界になりますようにと、願っています。

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