絵本「ぐりとぐら」

ぐりぐら

福音館書店

なかがわりえこ 文
おおむらゆりこ 絵

定番絵本『ぐりとぐら』の内容紹介(あらすじ・受賞歴・見開き掲載) - なかがわ りえこ - おおむら ゆりこ | 絵本屋ピクトブック

「ぼくらの なまえは ぐりとぐら
 このよで いちばんすきなのは
 おりょうりすること たべること
 ぐり ぐら ぐり ぐら」

楽しい雰囲気で始まる、赤と青の帽子がトレードマークの、ふたごの野ねず「ぐり」「ぐら」のお話。

 

 

いつも仲良しでお料理することと食べることが大好きな2ひきの野ねずみは、天気の良いある日、大きなかごを持って、もりのおくへ出かけます。
どんぐりや栗を拾いながら、歩いていくと、なんと、道の真ん中に、大きなたまごがおちているではありませんか。

2ひきの野ねずみより大きな大きな たまご、どうやって家まで持って帰ろうか…
どうやっても、もって帰れないと思ったぐりとぐらは、このまま、この森の中で
お菓子作りをしようということになります。
森じゅうに広がる美味しそうな、いいにおい…そしてそして、有名なエンディングへと、お話は進んでいくのです。

私が子どもの頃にも、よく母に読み聞かせをしてもらい、楽しませてもらいました。ふたりがつくった黄色い大きなカステラの場面は、憧れで、本当にいいにおいがしてくるような気がしたものです。
また、その場面には、以前にこのブログで紹介している「いやいやえん」に出てくるオオカミや赤いバケツをもったクマさんもいるので、なんだか「みつけた!」という感じで楽しかったのを覚えています。

小さな双子の野ねずみは、いつも仲良しで、いつも相手を思いやって生活や遊びを楽しんでいて、絵本の中の世界は平和で、愛で溢れています。
森もお家も、家具も食べ物も、明るい彩色で、自然とともに生活していて、小さなことに驚き、喜び、楽しみ… 困ったことがあれば、頑張って解決しようと頑張ります。 大人になって絵本を開いてもやっぱり楽しく、子どもの頃の幸せな時間や思い出とともに蘇ったり、人生の大切なものが見えてくる宝物のような絵本です。
印象に残る絵本、感動する絵本、思い出とともにある絵本、考えさせられる本、様々ありますが、昔も今も人気で、どの世代にも愛されている、本当に名作中の名作だと思います。

「ぐりとぐら」が生まれたのは1963年。
はじめはお母さん、お父さん向けの雑誌「母の友」で、読み切りのお話として登場したそうで、その時のタイトルは「たまご」だったそうです。
そして、その年の12月に、月間絵本「こどものとも」(93号)で、絵本「ぐりとぐら」が登場したとのことです。

 

 

お話を作った中川李枝子さんと、絵を描かれた山脇百合子さんは姉妹で、お二人で、ぐりとぐらシリーズの他にも、私の大好きな「いやいやえん」をはじめ、たくさんの童話や絵本を世に送り出してくれました。
妹さんの、山脇百合子さんは3年前に、お姉さんの中川李枝子さんは昨年10月に、お亡くなりになっています。
とてもとても残念ですが、ふたりが送る出してくれた数々の絵本や童話は、これからも、子ども達の心を明るく楽しくしていってくれることでしょう。
そして、お二人が描いた世界のように、今の平和な日常が、永遠に続いてほしいと願っています。

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絵本「大ピンチずかん」

大ピンチずかん」
小学館
鈴木のりたけ 作

牛乳があふれてしまった!
パックジュースのストローが中に入ってしまって取れない!
ガムを飲み込んでしまった! 等々… 大人なら誰でも一度は経験しているようなハプニングの数々が、次々に登場し、笑って楽しめる絵本「大ピンチずかん」。
お風呂に入ろうとしたら、お湯がない!なんて、最近、私もやらかしたばかりで、勇気づけられます(笑)

思い出せば、子どもの頃には様々なピンチがあり、その度にドキドキしていたものです。でも、いつの間にか年齢を重ね、ピンチも笑ってやり過ごしたり、ごまかしたりする図太さを身につけました(≧▽≦)
でも、小さな失敗も 幼い子ども達には大問題。私もこの絵本を読んでそんな子どもの頃の気持ちを、チョットだけ思い出しました。

孫娘と、この絵本を初めて一緒に読んだ時、彼女は まだ年長さんの頃で、ページをめくるたびに繰り広げられる失敗の数々にいたたまれなくなったのか、最後までたどり着かず「ばぁば、もういいや」と、絵本を閉じてしまいました。
そこから一年以上経ち、今では「これはピンチだ~」と、笑いながら見ています。
その様子を見て まだまだ幼い彼女ですが、様々な経験の中で、ピンチを乗り越えたからこそ、笑いに変えられる度量?のようなものが、備わってくるのだなぁと、感じました。
同じ本を読んでも、その時の自分自身によって、感じ方も捉え方も違う…これは成長ですよね。それは、大人になってからでも同じです。

大人の私でも、自分でも苦笑いするような過去の失敗やハプニングが この絵本にピンチとして紹介されているのを見て「あ、結構みんなも同じような失敗をやらかしてるんだ」「うんうん そうそう」と、笑ってしまったので、子ども達なら、間違いなく勇気づけられることでしょう。

2022年に出版された この絵本は、様々なピンチをレベルの大きさ等で分け、そのピンチの切り抜け方も紹介されています。
出版から2年半足らずで発行部数100万部を超えるベストセラー、大ヒット作品になり、翌年には「大ピンチずかん2」も出版されて人気です。
新聞のコラムで取り上げられていて知ったのですが、この本の編集を担当した出版社「小学館」の村松茂さんは元々、図鑑の編集をしていた方だそうで「もっと図鑑らしい構成にしてみてはどうか」と作者の鈴木さんに提案し、図鑑の作り方を取り入れたことでユニークな作品になったそうです。

鈴木さんの言葉「失敗も人生を明るくする材料の一つ。成功も失敗も大事にするくらいの方が幸せにつながると思う。いつもとは少しちがうものに興味をもって、失敗をおそれずに一歩前に進んでみてください。身近な世界がちょっと変わって見えてきます」

とても楽しい絵本の中に、作者の深い思いが溢れている傑作です。

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