「いやいやえん」
福音館書店
中川李枝子 さく
大村百合子 え
子どもの本研究会 編集
「いやいやえん」は、有名な絵本「ぐりとぐら」の作者 中川李枝子さんと山脇百合子さんの姉妹によって作られた童話です。「大村」というのは山脇さんの旧姓です。
お話は字が多く、絵は挿絵的な感じですが、イメージを膨らますのに丁度いい具合です。私もこの本が大好きで、よく母に読み聞かせてもらいました。字が多いので、お話をひとつづつ、何日かで読んでもらったのを覚えています。
お話は、「ちゅーりっぷほいくえん」「くじらとり」「ちこちゃん」「やまのこぐまちゃん」
「おおかみ」「山のぼり」「いやいやえん」の全部で7つ。
保育園での生活がお話の中心で、どのお話にも「しげる」という元気でいたずらっ子の男の子が登場し、しげるが保育園や保育園をお休みした日などに体験した様々な遊びや事件がいっぱい詰まっています。
お話を作られた頃、中川李枝子さんは保育士をされていたそうで、保育園での先生としげるのやりとりや、遊びの様子、子ども達の会話などに、保育士ならではの視線や愛情が感じられます。
また、一番最初のお話で「ちゅーりっぷほいくえん」のやくそくがでてくるのですが、それがなんとも、的を得ていて面白いし、また、そのやくそくを守らないで一日で17回も叱られる「しげる」のしたことが笑えてきます。これだけで「しげる」がどんな子どもかわかっちゃうくらい^^; 先生も叱りながら「子どもらしい」とは思っているはずです。ちがうかな…。
「くじらとり」というお話の中で年長組の男の子達が積み木で作ったりっぱな船に乗って、くじらを捕まえに冒険に出かけるお話がありますが、お話が進むうち、どんどん空想の世界へと飛んで、現実の世界と行ったり来たりしながらの面白さを感じます。どのお話もこんな風に、ワクワク感たっぷり、ユーモアたっぷりで、冒険へ行ったからこんなことができるようになったとか、失敗したから、次はしないとか、教訓的なものは一切なくて、子どもの世界の淡々とした日常の中の遊びやハプニングや、空想の面白さが台詞や題材の中にあふれています。いたずらっ子のしげるや子ども達が、先生や母親の大きな愛情の中で、本当にのびのびと子どもらしく毎日を過ごしている様子が描かれているのです。
7つも、お話が入っているので、かなりのボリューム感で、読み聞かせをするとしても、一日では読めない感じですが、保育園に通う子ども達は、身近な世界観でとても楽しめるのではと思います。
また、「やまのこぐまちゃん」や「おおかみ」で登場する赤いバケツをもったこぐまや、ブラシとタオルをもったおおかみは、「ぐりとぐら」や、「そらいろのたね」などの絵本にも、登場してるんじゃない?って、我が家の子ども達は、また違ったところでも楽しんでいました(^^♪
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