絵本「いつでも 会える」

「いつでも 会える」

学研研究社

菊田 まりこ

いつでも会える 絵本 に対する画像結果

 



可愛くて無邪気な小さな白い犬 シロ。
シロは、みきちゃんが大好き。大好きなみきちゃんといつも一緒。
ごはんも散歩も…
ずっと一緒にいられると思っていたのに、ある日 みきちゃんがいなくなってしまった。
シロは、大好きなみきちゃんがいなくなってしまった悲しみに押しつぶされそうになる毎日の中で、懸命にその悲しみを乗り越えようとします。そして……

 

 

 

 

この絵本を書店で見つけた時、私は自身の実母を、重い病で亡くしたばかりでした。大切な人を亡くすと、どんなに会いたくても、会えない、呼んでもらえない、触れたくても温かさを感じることはできなくなります。
そして、自分が寂しさや悲しさを感じると同時に、亡くなった人の心に思いを馳せるのです。
どんなに生きたかったか、一緒にいたかったか、色んな事をしたかったか、それが叶わず逝ってしまったことに、胸がつぶれそうに痛むのです。

シロも 「シロって、よんで。あたまを なでて」と、心で叫び、悲しみます。
みきちゃんだって、もっともっと生きていたかった。もっともっと遊びたかった。もっともっと…
その悲しみが癒えるのは、やはり、時間しかないのでしょう。

 

 

 

悲しみにくれる時間の中で、同じ悲しみを抱く家族や周りを取り巻く人たちと過ごし、話し、聞いてもらいながら、亡くなった方を偲ぶ中で、少しずつ胸の痛みを流せるようになると、シロのように「とおくて、ちかいところに いたんだね」という思いを、時々はもてるようになるのかもしれません。


母が亡くなった頃に、三人の子どもの母親だった私は、この絵本を読み、母を思いました。私にも、こんな気持ちになれる日がくるのだろうかと…
母が亡くなっても、当たり前ですけど、残された者の日々は続いていきました。どんなに悲しくても、お腹もすくし、やらなきゃいけないこともたくさんありました。それでも ぶれずに、日常生活を続けていく事ができたのは、母が私を愛情いっぱいに育ててくれたからだと思うことができるようになり、シロのように、目をつむると、母を微笑んで思い出せる日も多くなってきたのです。
そう、母は遠くてちかいところに、いつもいてくれたのです。

 

 

短いお話のシンプルな文体の中に、悲しさ、優しさ、思いやり 等 様々な思い を感じさせてくれる一冊だなぁと、開くと いつもちょっとウルッとします。

 

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