絵本「いもうとのにゅういん」

「いもうとのにゅういん」
福音館書店
筒井頼子 さく  林 明子 え

こどものとも323号2月号「いもうとのにゅういん」(筒井頼子さく/林明子え) / 古書追分コロニー / 古本、中古本、古書籍の通販は「日本の古本屋」

この絵本は、前回 載せた「あさえと ちいさいいもうと」の続編のような設定の絵本で、あさえと妹のあやちゃんが、少し成長した様子で描かれています。

あさえが幼稚園から帰って来ると、お母さんがぐったりしたあやちゃんをおんぶして、病院へ行くところで、診察を受けた結果、盲腸の手術をする事になります。あさえは、幼稚園から帰って来た時、お気に入りの人形が、朝寝かせた場所にない事に「また、あやちゃんのいたずらだ」と、腹を立てていましたが、手術をすると聞いて、とても心配になります。

お母さんが病院へ行ってしまった後に、天気が急変し、雷雨になってしまい、雷⚡の怖さと、あやちゃんが心配な気持ちが重なりとっても不安になってしまいます。
子どもの頃、私も雷⚡が大嫌いでした(平気な子いる?)。だから、すごく怖かったよね。
程なく、お父さんが帰って来て、あやちゃんの手術も無事終わったと連絡も来て、次の日お見舞いに行くことになり、あさえは、あやちゃんに持っていったら喜ぶか、一生懸命考えて…

   

結構ストーリーを紹介してしまいましたが、お話と林 明子さんの絵の描写が素晴らしくて 最後はホロっとしてしまいます。いつも、自由気ままな妹に腹を立てることも多いお姉さんですが、
いないと寂しい…病気ともなれば、家の様子もいつもと違ってしまって心がざわざわします。大人であれば、何気ない日常の有難さに気付くというところでしょうか。
手術を終えたあやちゃん喜ばせたくて、あさえが渡したものがわかった時には、私もあさえちゃんを抱きしめたくなりました。
家族というものは、こういう様々な試練を乗り越えて、絆が生まれていくのでしょうね。また、心が成長するって、こんな瞬間なのでしょうね。そういう心の動きが、繊細で温かい絵の描写で丁寧に綴られています。

      

そして、やっぱり 林 明子さんの絵なので、細かい部分まで楽しくなっています。あやちゃんの手には点滴の跡があったり、病院のロビーには「はじめてのおつかい」のみいちゃんやお母さんと赤ちゃん、めがねおじさんもいます。お父さんと二人の夕食では、お気に入りの人形「ほっぺこちゃん」にもご飯が並べられていたり…他にも色々…
細部に渡り、丁寧な描写で 読み聞かせだけではない、子ども達が自分で絵本を開きたくなる楽しさや温かさがたくさん詰まっている傑作です。

         

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