絵本「あさえとちいさいいもうと」

「あさえとちいさいいもうと」
福音館書店
筒井頼子 さく
林 明子 え

あさえとちいさいいもうと に対する画像結果

この絵本は、前回ご紹介した「はじめてのおつかい」と同じ 筒井頼子・林 明子さんのコンビで作られた絵本で、発行日を見ると 丁度「はじめてのおつかい」の3年後くらいに作られています。

          

ストーリーは、あさえが家の前で道にチョークで絵をかいて遊んでいたら、銀行に行きたいお母さんにお留守番を頼まれます。更に妹のあやちゃんがねんねしたばかりで、家においてちょっと行ってくると告げられてすぐ、あやちゃんが泣いて起きてきてしまいます。
あさえは、がぜん「お姉さん」を発動して夢中で絵をかき、あやちゃんを喜ばせようとしますが、顔を上げるとあやちゃんがいなくなっています。あさえは妹をさがし、いつも行く公園へ走りました。あやちゃんを心配して走るあさえの気持ちが、絵と一体になって緊迫感を描き出しています。
あさえもまだ、小さな子どもだけれど、あやちゃんのお姉さんとして心配する姿は、小さなお母さんのようです。
お姉さんやお兄さんとして生まれた方なら、一度は経験したことのある思いではないでしょうか。

また、「はじめてのおつかい」同様、この絵本も絵探しが楽しめます。あさえがあやちゃんをさがして走る道の途中には、「はじめてのおつかい」で出てきたおしゃべりおばさんや、サングラスのおじさん、また、最後に出てくる公園にはみいちゃんがいます。
あら、みいちゃんとあさえちゃんは、同じ町に住んでいたのね~なんて、子どもに読み聞かせしながら、楽しい発見をしたのも思い出です。子ども達は、嬉しそうに得意げに、瞳をキラキラさせて、教えてくれました。絵本って、本当に楽しいですね。
                


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絵本「はじめてのおつかい」

「はじめてのおつかい」

福音館書店
筒井頼子・さく  林 明子・え

はじめてのおつかい | ことり文庫の絵本のある暮らし

今年も もう3月。4月になれば新しい年度が始まります。環境が変わることにドキドキワクワクしている人もいれば、不安で不安でしょうがない人もいるでしょう。
私も新しい事、未経験の事に対しては二の足を踏む性格なので、保育士の頃 4月に泣きながら登園してくる3歳児の子ども達の気持ちに寄り添うことを苦痛に思った事はありませんでした。「そりゃそうだ、そうだよねえ」と、よしよししたものです。

そういう私も、今までの人生で仕事や子育て等、頑張らなくてはいけない場面が何度かあり、その度に勇気づけられてきた絵本が「はじめてのおつかい」です。
この絵本に初めて出逢ったのは、私が小学4年生の頃で、弟が幼稚園から月間絵本として持ち帰って来た時に母が読んでくれました。初めて読んでもらった時からこの絵本が大好きになりました。
ストーリーはもちろん、林明子さんの絵が大好きで、何度も何度も繰り返し読んで、見て、読んで、見て、絵本はボロボロになっています。

 

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忙しいママにおつかいを頼まれた5歳のみいちゃんは、はりきって牛乳を買いに、いつもママと行く坂のてっぺんのお店へお金を握りしめて歩き始めます。
大人から見れば些細なことでも、5歳のみいちゃんにとってドキドキすることばかり。自転車とすれ違ったり転んでしまったり、様々なドキドキをくぐり抜けてやっとお店のおばさんから、牛乳を渡された時に、「ぽろんとひとつ、がまんしていたなみだがおっこってしまいました」となるのです。

保育士という仕事をしていたせいか、子ども達と一緒に頑張る機会も多かったのですが、その度に 緊張する自分に力をくれたのは いつも子ども達でした。子どもって小さいのにすごいパワーを持っている生き物です(笑) 自分だって緊張しているのに、見に来てくれたパパやママ、大勢のお客さんの為に、今まで練習して来た通りにまっすぐな瞳で先生を見つめて頑張ってくれるのです。その姿に 何度も救われて仕事を続ける事ができたのだと今でも思っています。みいちゃんだってそう、忙しいママの役に立ちたくて頑張るんです。「ぎゅうにゅう くださあい!」って、自分でもびっくりするくらいの大きな声を出して…。
みいちゃんのママもきっと、必要だった牛乳を買って来てくれて助かったのと同時に、みいちゃんの頑張りに勇気づけられたことでしょう。
子どもの純真な気持ちに後押しされながら、育児を頑張るママたちに読んでほしいなと思える 素敵な絵本です。

あと、この絵本にはまた別のお楽しみが隠されています。絵探しです。絵探しと言っていいのか、どう伝えていいのかわからないですが、見開き7~8ページくらいのちょっとした街並みのところをよく見てみると面白いことに気が付いたり、お店の名前が作者の名前だったり、お店の猫の動きがページをめくる毎に面白かったり、掲示板の張り紙を読むと気が付く事があったりと、とにかく隠れミッキーみたいにたくさんお楽しみが隠れているのです。 最後の裏表紙までお話が続いている本当に楽しい名作の絵本だと思います。

   

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絵本「ぽんたのじどうはんばいき」

「ぽんたじどうはんばいき」
ひさかたチャイルド
作・加藤ますみ 絵・水野二郎

ぽんたのじどうはんばいき に対する画像結果

ある日、ぽんたはふもとの村で見た、じどうはんばいきをはこで作ります。じどうはんばいきはお金を入れると、いろんなものが出てきます。葉っぱをいろんなものに変えるのが得意なぽんたも、これならできそうだなと、思うのです。

私は、このお話には大変お世話になりました。保育士だった時に劇ごっこで楽しんだり、発表会でも披露したりしました。葉っぱを入れるとほしいものが出てくるなんて、本当に夢のようです。
子ども達は、自分のほしいものを思い浮かべながら小道具作りも楽しみました。それは、キラキラのマラカスだったり、剣だったり、ゲーム機だったり…みんなは今、こーんなものがほしいんだねーと聞くのも作るのも面白かった♡ 楽しませていただきました。

 

森の仲間が来て、じどうはんばいきの後ろでほしいものを聞いたぽんたは、喜ばせたり、助けてあげたりする為に頑張ります。そんな心優しいぽんたが本当に可愛いです。
最後には、じどうはんばいきを通して、ぽんたに同じたぬきのお友達ができます。そのくだりがまた
とても可愛らしくて微笑ましいのです。
その日以来、じどうはんばいきは稼働しなくなります。ぽんたはきっと、毎日新しいお友達と遊ぶのが楽しくなっちゃったんでしょう。

友達って大切ですよね。新学期や入園など、子ども達の環境も変化する春。親や兄弟姉妹だけの世界から飛び出して世界が広がる子もたくさんいることでしょう。仲の良い友達や新しくできた友達と遊ぶ子どもの姿は楽しそうで親も嬉しくなるものです。ぽんたもみんなの為に頑張った最後にご褒美みたいにお友達ができてよかったなぁと、読み終えるとほんわか心が温かくなる…そんな絵本です。

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絵本「はなのすきなうし」

はなのすきなうし
岩波の子どもの本

おはなし マンロー・リーフ
 え    ロバート・ローソン
はなのすきなうし に対する画像結果

2月の初めに立春を迎え、今年も季節は暦の上では春となりました。まだまだ寒い日もありますが、桜や、チューリップ等の春咲きの植物たちは、一年に一度の機会を楽しみに、土の中や蕾の中で少しずつ準備をしていることでしょう。
「はなのすきなうし」というお話はそんな花のにおいをかぐのが大好きなスペインに住む、うしのお話です。この絵本も、子どもの頃 大好きでよく母親に読んでもらいました。その頃は単純にこのお話の展開を楽しんでいたように思いますが、自身が母となり、この絵本を子ども達に読んで聞かせる立場になると、色々と気づかされる事がありました。

話は変わりますが、我が家には、ヨークシャーテリアの小型犬がいます。犬は嫌いではなかったですが、室内で犬を飼う、ということに全く興味がなかったのに運命の出逢いをしていまい、思いがけず一緒に暮らすことになったので、色々と勉強したわけです。
散歩はもとより、ドッグランやドッグカフェ等々、最近は、ワンコと一緒に楽しめる場所やイベントもたくさんあり、お出かけを楽しもうと思っていたのですが、我が家のヨーキーは本当にビビりで、
他のワンコ達と全く遊べないのです。食べることが大好きなので、運動不足になってもいけないと思い、散歩だけは苦心の甲斐あってよく歩けるようになりましたが、家に近づくと嬉しそうに早足になり、帰宅するとホッとした表情をしています。犬といえば、散歩は大好き、広い場所では走り回るものだという私の固定概念は打ち砕かれました。そして、ある日、久しぶりに「はなのすきなうし」を手に取り、孫に読み聞かせていた時に、ふっと我が家のヨーキーが浮かんだのです。
家のヨーキーも、もし飼い犬ではなかったら、フェルジナンドのようにみんなから離れて、木陰に座っていたんだろうなぁと…

動物にも、それぞれ性格があり違うように、子ども達にももちろん個性があります。でも、母親になると、子どもの頃の気持ちは遠のいてしまい、みんなと一緒だと安心、一人でいると友達いないの?
と心配になってしまいがちです。

この物語の主人公「フェルジナンド」のおかあさんも、友達と一緒に遊ばず一日中コルクの木の下で花のにおいをかいでいるむすこの事が、一人ぼっちで寂しくないかしらと心配し、尋ねます。そして、むすこと話し、寂しがっていない事がわかると、よく理解し、むすこの好きなようにしておくのです。絵本の文の中にあるように、本当によくもののわかったおかあさんだと思います。

子ども達は、当たり前ですが、いつまでも小さな子どもではありません。子どもがその子らしくいられる為には、一番近くにいる親の理解が不可欠です。私もそんな当たり前の事に気がつくのに随分と時間がかかりました。みんな一緒ではない、一人一人違って、それでいいということに。

子どもが成長し、社会へ出ていった時には、自分が「はなのすきなうし」のような人かもしれないし、近くにそのような人がいるかもしれない。
でも、普通に認め合い、平等に関わり合える社会であってほしいと願い、また、この絵本を読んだ
子ども達の心の中に、ぼんやりとそんな感覚の芽が宿ってくれるといいなぁと思うのです。

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絵本「ないた あかおに」

「ないた あかおに」
偕成社
 文・はまだ ひろすけ  え・いけだ たつお  

絵本『ないたあかおに』の内容紹介(あらすじ) - はまだ ひろすけ、いけだ たつお | 絵本屋ピクトブック

2月3日は節分ですね。節分とはその漢字の通り「季節の分かれ目」という意味です。2月4日は立春となり、暦の上では春ということになります。昔から季節の変わり目には体調を崩す、良くない事が起きやすいと思われていたようで、鬼や邪気を追い払う為に豆をぶつける、という意味で広まったのが豆まきだそうです。大切な作物であった大豆には、穀物の霊が宿っていて、その力が悪霊をしりぞけると、昔の人は考えていたのですね。
というわけで、節分が近づくと本屋さんの絵本コーナーには、鬼の絵本がたくさん並び始めますが、
紹介したい「ないた あかおに」というお話は私が子どもの頃からある絵本で〝はまだ ひろすけ”
さん作の名作絵本です。

人間と友達になりたいと思っていた心優しい鬼、赤鬼。でも、やっぱり鬼なので人間たちは怖がって近づいてはくれず、どうしたものかと悩んでいると、そこへ友達の青鬼が訪ねて来ます。元気のない友達の様子に一肌ぬいでひと芝居打ち、そのために青鬼は長い旅に出ることになり、赤鬼とはしばらく会えなくなってしまいます。人間たちと仲良くなれた赤鬼が悪者役を演じた自分と仲良くしている事を人間に見られてはいけないと青鬼は旅に出てしまうのです。置手紙を読んだ赤鬼は青鬼の深い友情に涙して、このお話は終わります。

子どもの頃、読んでもらった後に、布団の中できっとまた二人は会えたよね。青鬼の誤解は解けたよね、等々…続きを想像しながら眠ったのを覚えています。
現実にはなかなかできる事ではないけれど、二人の鬼の感情に移入して色々な思いがあふれ感銘を受け、本当はどうしたら一番良かったのかなとか、考えさせられます。でも、この考えることこそが、子どもの心を成長させてくれるのだと私は思います。人の気持ちになって考える、もし自分だったらとおきかえて想像する、そこに思いやりが生まれ、想像力が育っていくように思います。

絵本「サンタクロースと小人たち」

「サンタクロースと小人たち」
出版社:偕成社
作・絵 マウリ・クンナス 訳:稲垣 美晴
絵本『サンタクロースと小人たち』の内容紹介(あらすじ) - マウリ=クンナス、いながき みはる | 絵本屋ピクトブック

小さな子どもだった頃、クリスマスは特別な日でした。家族でごちそうやケーキを食べ、歌を唄ったり、クラッカーを鳴らしたりして、楽しんで眠ったら、次の日には枕元に欲しかった物がそっと置いてあって…。
でも、ずっと不思議だった。
「どうして世界中の子どもにプレゼントを一晩で配れるの?」
「どうして欲しい物がわかるの?」
「どこに住んでるの?」
「夏にそのおひげは暑くないの?」等々…
絵本ナビ 子どもに絵本を選ぶなら

そんな思いも、大人になるにつれて無くなった頃、本屋さんで一冊の絵本に出会いました。
「サンタクロースと小人たち」 もうあまり覚えてはいませんが、購入したのはやっぱりクリスマスの頃で、沢山のクリスマスの絵本が書店の店頭に並んでいた頃だったと思います。
可愛い絵と、夢のあるお話に一瞬で魅せられてしまいました。
北欧の国 フィンランドで大勢の小人たちと一緒に生活し、プレゼント作りに励むサンタの一年間をユーモアと可愛い絵で綴っています。夜、眠る前の読み聞かせにももちろん、子どもが手にとって絵だけを眺めてみても色々な発見があって、とても楽しめます。
(例えば…おもちゃを作っている小人が邪魔なひげを面白くしばっていたり、クリスマスのプレゼントを配り終えた後のおかゆのごはんの中にある幸運のアーモンドは誰のおかゆの中にあるのか探したり…他にも色々…)
この本があれば、クリスマスの不思議に、子どもの夢を壊す事なく、応えてくれるはずです。
是非、クリスマスが近くなった今、手に取ってみてはいかがでしょう。
最後に、この世から戦争が無くなり、幸せなクリスマスを世界中の子ども達が迎えられる日がくることを願っています。




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絵本「おしゃべり ゆわかし」

「おしゃべり ゆわかし」
出版社:あかね書房
 作:佐藤 さとる 絵:村上 勉 5~7歳向け


幼年童話『おしゃべりゆわかし』の内容紹介(あらすじ) - 佐藤 さとる、村上 勉 | 絵本屋ピクトブック

この本の初版は1969年なので、私が4歳の時ですね初めて読んでもらった時の事は覚えていませんが、面白くて何度も何度も読んでもらいましたし、自分の子どもにも何度も読み聞かせ、また、 仕事でも保育園の午睡前に続きものとして、2、3日に分けて読んだ事もあります。

内容は、冷蔵庫に閉じ込められてしまった、おもちゃ達の大事なおひめさまを、子供部屋のおもちゃ達や台所の食器や調理道具たちが力を合わせて助け出すというお話で、その出来事をゆわかしがしゅんしゅんお湯を沸かしながら話してくれるという始まりです。

字が多いのですが、それが気にならないくらい面白く、絵も白黒のページとカラーのページがあり、効果的にカラーが使われています。また、子どもの頃読んでもらった時には気づけなかった登場人物達の思いにも大人になると ハッとしたり、おもちゃや台所の道具たちそれぞれが、個性豊かに描かれていて、途中ハラハラするシーンもあったりしますが、最後まで楽しく読む事ができる名作絵本だと思います。

2023年の今では、もう使われていない電気製品の数々、レトロな台所のガス台や水道の蛇等々…。昭和の時代を感じる絵も魅力的に映ります。私なんかは、子どもの頃の実家の台所を思い出して懐かしくなります。表紙の豆電球も今ではLEDですよね(笑)
そんな昔を思い出すと、母の腕枕や弟と母の隣を取り合いした思い出、寝室の布団の色 等々浮かんできます。読み聞かせの極意とは、実はそんな温かい思い出が、今の自分の柱となっているところにあるのかな~と、時々思います。
   


https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=11144
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今日からブログを始めます。

今日からブログを始めます。
ずっと、保育士をして、忙しい毎日を送っていましたが、家庭の様々な事情で退職することになり
大の苦手なパソコンに向き合ってみることにしました。 

ブログのタイトルは、「宝物の絵本たち」 
私はもう、50代の孫もいるおばあちゃんですが、昔はもちろん子どもだったわけで・・・子どもだった頃には、今はもう亡くなってしまった母が毎日のように絵本の読み聞かせをしてくれました。
忙しい母が、時間を割いて読み聞かせをしてくれたことは、今でも私の宝物の思い出です。

そんな昔から大好きだった絵本や、子育てや仕事の中で出逢った絵本、また、絵本にまつわる
思い出などを綴り、残していけたらと思っています。
よろしくお願いします。